◎『トップに立つ者』の著者ウォレン・ベニスとバート・ネイナスは、世界中の一流の経営者にインタビューをし、共通の特徴があることを発見。「彼らの辞書に『失敗』や『不可能』という文字がない」という事でした。
発明王トーマス・エジソンが白熱電球の研究で失敗を繰り返し、落胆している助手に言いました。「それを失敗と言ってはいけない。やってはいけないことを一つ学んだのだよ。だからまた成功へ一歩近づいたんだ。」
1914年12月、エジソン研究所が火事になり全焼。一夜にして200万ドルの設備と、研究資料を失いました。火事の最中にエジソンの息子チャールズは、父親を捜して狂ったように周囲を走りまわり、火のそばに立ち尽くしている父親を見つけました。エジソンは、息子の姿を見つけると大声でこう叫んだのです。「チャールズ、母さんはどこだ! すぐに此処につれて来なさい、こんな光景は生きている間に二度と見られるものじゃないからな」次の朝、黒焦げになった沢山の燃えさしの間を走り回りながら、67歳のエジソンは言いました。「災難にも感謝すべき点があるね。我々の過去の失敗をすべて灰にしてくれたよ。これから真っさらでスタートできることを神に感謝しなければいけないね」エジソンはこの火事の経験から、煙の中でも照らすことの出来るサーチライトを発明したのです。
陽気なビジネスマンとの会話
「何を売っているんですか」「自動車のセールスです」
「この時期は、なかなか厳しいのではありませんか」「いいえ」と彼は明るく答えました。「最高の状態ですよ。私の会社は今年新しい支社をオープンしたばかりですが、売り上げ好調です」
「しかし、自動車業界は景気後退なんじゃありませんか」
「ええ、その通りですが、私たちにとって有利に働いています。競争相手は皆、意気消沈して、値下げをしなければ売れないから、まったく儲けが出ないとこぼしていますからね。私たちは一切値下げはしません。しかし、この業界で最高のサービスを提供することに社員一同徹しています。お客様は、そういう姿勢で働いているセールスマンから買いたいと思うのです」
彼はまたニッコリ笑って続けました。「この景気低迷があと二、三年続いてくれると、私はもう一生仕事をしなくてもいい位、稼げるんですがね。」